祐介くんが来た途端、急に騒がしくなったような。



それに、吉春くんとの言い合いが、仲良さそうで微笑ましかった。



祐介くんは視線をずらし私と蒼くんを見ると、驚いたように目を見開いた。



「あれ?吉春と緋奈乃ちゃんは分かるけど、蒼と真湖ちゃんって…付き合ってないよな?」

「俺、もう告ったから。付き合ってないけど、付き合う予定」



なんでそんな恥ずかしいことを、サラッと言えるの⁉︎



蒼くんって、素直すぎる…



「やるなー蒼!でも、真湖ちゃん最近流矢と雰囲気いいから、真湖ちゃんは流矢が好きなんかと思ってたけど、違うんだ」



祐介くんがひとりで頷いて、勝手に納得している。



そんな中、いきなり吉春くんが、驚きながら立ち上がった。



「は?流矢って…水原流矢?」

「そうだけど。吉春知ってんの?」

「知ってるに決まってんだろ!夕ヶ丘じゃ有名人だよ」



やっぱり、かっこいいって有名なんだろうな。



そう思ったけど、次の吉春くんの言葉に、衝撃を受けた。



「中学の時野球凄かったのに、夕ヶ丘からの推薦蹴って、野球やめたって。この話、すげー有名だよ」



野球…?水原くんが?



中学の時、野球強かったって…



ということは、中学の時、野球やってたってこと?



しかも、野球の強豪校で知られる夕ヶ丘からの推薦蹴って、野球もやめたって…



今の水原くんを思い浮かべてみる。



髪の毛なんか坊主じゃないし、ふわふわの茶髪で。



肌も焼けてないし、部活にも入っていない。



でも…筋肉質なあの体。



野球、やってたんだ…