「断る理由になってねーよ!みたいな。でも、それほど緋奈乃ちゃんのこと好きなんだって思うと、吉春がかっこよく見えた」

「かっこいいね、吉春くん」

「だから、夕ヶ丘じゃ、吉春の彼女溺愛っぷりは有名になったよ。笑えるくらい」



緋奈乃も愛されてるな〜。



緋奈乃は気付いてないかもしれないけど、吉春くんが私に見せる笑顔と、緋奈乃に見せる笑顔は、全然違う。



緋奈乃は不安がる必要、ないと思うんだけどな。



まあ、私はそういう経験ないから、私が言える立場じゃないんだけど…



「でも、蒼くんもモテるでしょ?」



吉春くんもかっこいいけど、蒼くんもかっこいいと思う。



爽やかだし、優しそうだし。



だけど、蒼くんは顔を少し赤くして首を横に振った。



「全然。俺、普段無口だし。女子ともあんま話さないから」

「えー!嘘。そう見えない」



今日だって蒼くんとは初対面なのに、こんなに話し盛り上がってるし…



無口には見えない。



「真湖ちゃんも、モテるでしょ?」

「全く!告白されたこととか、一回しかないし」



しかもその一回は、あの光先輩という。



私のモテ期というものは、高2になった今でもきていない。



一体、いつくるんだろう。



「多分、真湖ちゃんって告白しにくい雰囲気があると思うよ。見た目綺麗系だから、なんか近寄り難いっつーか…」

「えっ、綺麗系とかやめてよ。お世辞でも照れる」



そんなこと言われ慣れないから、顔が熱くなる。



そんな私を見て、蒼くんはニッと笑う。



「真湖ちゃん凄い綺麗だよ。俺タイプ」



あまりに綺麗に笑いながら言うから、私は固まってしまう。



タイプって…直球に言われると、なんて言えばいいのか分からない。



蒼くんは私の心の呟きが分かったのか、少し苦笑いを浮かべた。



「あ、ごめん。真湖ちゃんは、好きな人いる?」