手を離すと、蒼斗くんは爽やかな笑顔を浮かべた。



「よろしくね。真湖ちゃんって呼んでいい?」

「うん。じゃあ私は、蒼斗くんで」

「いや…」



蒼斗くんは何故か、首を横に振る。



「蒼でいいよ。俺、みんなから蒼って呼ばれてるから、蒼斗だとなんか慣れなくて」

「そっか。じゃあ、蒼くん」



もともと男子の名前を呼び捨てにすることが苦手な私。



蒼くんとしばらく話していると、蒼くんは凄く爽やかな人だと分かった。



だけど、少しだけ祐介くんとキャラが似てるような気もするんだけど…



隣では緋奈乃と吉春くんがイチャイチャしてるし、なんかもう、蒼くんと私だけのけ者みたい。



私に男を紹介するって緋奈乃は言ってたけど…



本当は、吉春くんに会うのが目的だったんじゃないの?



そう思ってしまうくらい、イチャイチャしてるふたり。



蒼くんはそんなふたりを見つめながら、ふっと笑った。



そして、私に視線を移す。



「吉春、凄いモテるんだよ。野球凄いし性格もいいし。結構告られたりしてるんだけど、断るセリフが凄いウケるんだよ」



蒼くんは何を思い出してるのか、ククッと口元を手でおさえて笑う。



「吉春、絶対こう言うんだ。“ごめん。俺は緋奈乃に会いたい”って」



今度は手を叩いて爆笑している蒼くん。



そんな蒼くんを見て、つい私もつられて笑ってしまう。