君に恋するその日まで

「山中さん、ちょいとコイツ借りるわ」



緋奈乃に向けられるその瞳も、何かをしてしまうんじゃないかというくらいに怖い。



だけど、緋奈乃はこれくらいで怯まない子。



負けじと光先輩を睨み返した。



「はあ?アンタみたいな束縛野郎に、真湖を貸すわけないでしょ。バッカじゃないの?」

「…んだとてめぇ。死にてぇのか!」



光先輩は私の後頭部から手を離すと、緋奈乃に向かって手を伸ばす。



このままだと、緋奈乃がヤバイ!



「光先輩!用があるなら行きますから。緋奈乃、ちょっと待ってて」

「えっ、ちょっと真湖!」



後ろで緋奈乃の声が聞こえたけど、私は笑顔を向けて、光先輩を引っ張って教室を出た。



私、笹倉真湖(ササクラマコ)。県立風凪高校に通う高校2年生。



友達も人並みにいて、親友の緋奈乃とも同じクラスで、クラスも仲良くて楽しくて、何の不自由もない生活。



でも、たったひとつ悩みがある。



それが、光先輩だ。



光先輩とは、私の彼氏。私はもう彼氏と思いたくないけど。



ひとつ上の先輩で、今は高校3年生。



見た目は不良みたいで少し怖いけど、たまに見せる優しさに少しずつ惹かれていった。



光先輩からの告白で付き合うようになった。



でも、付き合い始めて1ヶ月後。光先輩の束縛が激しくなった。



酷い時は暴力。現に私の腕には、光先輩によって作られた痣もある。



男友達と話すのも禁止。私はそれを軽く破っていて、今でも普通に男友達と話す。



でも、何で男友達と話していることがバレるのか、不思議でしょうがない。