水原くんの方に顔を向けると、至近距離で水原くんと視線が絡まる。



やっぱり水原くんの瞳は、吸い込まれそうなほど綺麗だ。



なんでそんなに澄んだ瞳をしているんだろうを



しばらく動けないでいると、水原くんは目を細めて優しく笑った。



「もう暗いし、送ってく。玄関で待ってる」

「まだ暗くないけど…」



今は7月だし、全然暗くないんだけどな。



でも、水原くんの優しさが伝わってきて、私も笑顔で承諾した。







水原くんと一旦別れて、私は教室に戻る。



その頃にはもう、A組には、木原さんも、木原さんをいじめていた女子も、いなかった。



日誌を書いて玄関に行くと、そこには水原くんの姿が。



水原くんは私を見ると、笑いながら左手をあげる。



そのまま水原くんに送ってもらい、私の家に着いた。



「送ってもらってありがとね。水原くん家どこなの?」

「俺、電車通。S駅に行くだけだし」



そっか。なら良かった。



S駅は私の家と同じ方向。遠回りじゃなくて安心する。



「あ、そうだ」



水原くんが思い出したかのように呟くと、ポケットからスマホを取り出す。



そして、私にもスマホを出すように言われてスマホを取り出すと、水原くんは何か操作をして、私に渡してきた。



「俺の連絡先、いれといたから」



水原くんは軽く微笑むと、「じゃあ、明日」と、手を上げて帰ってしまった。



急いでスマホを開いて見ると、水原くんの連絡先が。



それを見て、自然と笑顔になってしまった。