「…水原くんは水原くんだよ」



自然と口から出ていた。



水原くんは、驚いたように私を見る。



「水原くんだって周りの人と同じだよ。時には失敗したり、挫けたりするでしょ?」

「……」

「私は信じるよ。水原くんっていう人を。最後まで、信じる」



水原くんの真っ黒な瞳を見つめる。



水原くんはただ私の瞳を見つめていると、キュッと目を細めて笑った。



そして、私の頭に軽く手を乗せる。



「笹倉って…凄いな」

「そう?」

「見た目運動音痴そうなのに」

「はあ?それ関係なくない⁉︎」



嬉しかった。



水原くんが、いつもの水原くんに戻って。



こうやってふざけ合える時間が…たまらなく嬉しいんだ。








「木原さんとは、いつから知り合ったの?」



柔らかい日差しと涼しい風が、私と水原くんの髪を揺らす。



それからも私たちは、屋上にいた。



フェンスに寄りかかりながら座って、気持ち良い風を感じながら。



「いつ知り合ったんだろ…気付いたら隣にいた感じ。幼稚園から同じだし」

「じゃあ、家も近いの?」

「うん。俺ん家の真っ正面」



やっぱり、幼なじみなだけあって家も近いんだ。



私には幼なじみとかいないし、幼なじみという存在が、羨ましくなる。