君に恋するその日まで

水原くんが、木原さんの腕を掴んだ時を思い出す。



てっきり彼女かと思ってたけど…幼なじみなんだ?



「…って、なんで水原くんの幼なじみって、緋奈乃が知ってるの?」

「あの流矢くんの幼なじみだよ⁉︎知ってて当たり前!…それに…」



笑っていた緋奈乃が、言いずらそうに顔を強張らせる。



緋奈乃が口を開いたと同時に、水原くんが無表情のまま小さく呟いた。



「唯香、いじめられてんの。俺のせいで」



そう言って水原くんは、悲しそうに笑った。



水原くんのせいで、木原さんがいじめられてる…



緋奈乃も知っていたらしく、俯いている。



緋奈乃は昔っから情報通。だから、知ってて当たり前なのかもしれない。



私、何も知らなくて、木原さんの態度にイラついてて…



何も知らなかった私を、殴りたくなる。



シーンと黙り込む中、A組の教室から、騒がしい声が聞こえてきた。



「あのさあ、何?さっきの態度。流矢くんがアンタみたいなブスに話しかけたのに、何で手を振り払ってんの?マジウザい」



教室の中を見ると、木原さんが座る机の周りに、いかにも強そうな女子3人が、囲むように立っていた。



木原さんはさっきのように、無表情のまま。



何で、そんな普通にしていられるのだろう。



「流矢くんの幼なじみだからって、調子乗ってんじゃねーよ‼︎アンタみたいなブス、見るだけで腹立つんだよ‼︎」



ありえない。



木原さんをいじめている人もそうだけど、周りもおかしい。



見て見ぬフリしてる人すらいなくて、まるでいじめがあるこの教室を、当たり前に思っているように、木原さんの方を一切見ずにみんな笑っているから。