君に恋するその日まで

「いつか見せてよ、トランペット吹いてるところ」



いつか、か。



一年は吹いてないから、もう全く吹けないと思う。



中3の修学旅行で、一週間部活を休んだ時も、音がパスパスで大変だったくらいだから。



一年というブランクは、大きい。



「あ。俺の名前、水原流矢ね。よろしく」



水原くんは自己紹介し忘れていたのか、思い出したかのように笑う。



自己紹介しなくても、水原くんの名前くらい、誰もが知ってるよ。



水原くんは気付いてる?



全校の女の子から大人気なこと。



後輩、先輩、同級生。年齢関係なくモテること。



さっきっからA組の女子が、私と緋奈乃をチラチラ見てくること。



水原くんを、気にするように見ていること。



水原くん、何気に鈍感そうだもんね。



周りに興味なさそうだし。



「私は山中緋奈乃です〜。ちなみに真湖と同じB組で、他校に彼氏います!」



隣にいる緋奈乃が、便乗して自己紹介をする。



彼氏いますって…軽く自慢してるでしょ。



それに、いつもより少し声高いし。



緋奈乃のミーハー気質は、やっぱり抜けていない。



水原くんは少しだけ笑いながら、緋奈乃と握手している。



「あっ、俺は賀川祐介!女の子大好き〜ははっ」



祐介くんも元気良く自己紹介をする。



女の子大好き〜って…洸耶が言ってたとおり、女にだらしないな…



私たちがA組のドアの前で楽しく話していると、誰かが私の肩に当たった。