君に恋するその日まで

「これからはあんな男に捕まるなよ」



そう言って、水原くんはため息をつく。



もう、光先輩みたいな人にホイホイついていくような女はやめよう。



絶対、捕まらないようにしないと。



「てか、頬まだ赤いな。ちゃんと冷やしてんの?」



水原くんはフッと笑うと、私の頬を包み込むようにして触る。



水原くんの手は、思ってた以上に冷たかった。



ヒンヤリと頬が冷たくなる。



それなのに、私の頬は熱くなるばかり。



「冷やしてるよ、ちゃんと…」



だって、今、水原くんの手が、私の頬を冷やしているから。



「腕も赤いし」



水原くんの手が、今度は私の腕を優しく掴む。



今は7月。もちろん制服は夏服。



だから私の腕は見えてて、光先輩に掴まれた赤い痕が、ボンヤリと見えている。



水原くんはその部分を優しく撫でる。それだけで、痛みが和らぐ気がした。



「ちょっとー、そこだけ甘い雰囲気なんですけどー」



隣から、祐介くんのつまんなそうな声がする。



私はハッとして、思わず水原くんから離れてしまった。



「別にそんなんじゃないから。心配してるだけ」



水原くんが笑いながらそう言うから、少しだけ胸が痛む。



ていうか、甘い雰囲気って何⁉︎



そんなつもりないんだけど。



「つーか、お前の名前知らない」



あっ…私、水原くんに名前言ってなかったっけ。



私は水原くんの名前を知ってたけど、水原くんが私の名前を知ってるわけないよね。



「笹倉真湖。ちなみにクラスは隣のB組」

「へぇ。B組ってことは、体育同じか」