翌日の昼休み。私は光先輩に呼び出された。



一緒にお弁当を食べていた緋奈乃が光先輩に突っかかってたけど、光先輩は何も言い返せずに、突っ立っていた。



いつも強気な光先輩が、大人しすぎる…



私は緋奈乃に何とか言い、光先輩の後をついていった。



いつもは目を釣り上げて、怒りながら私の腕を強い力で掴むのに、今日は私に触れることなく、ただ私の前を歩いている。



…変なの。まあ、これでいいんだけど。



連れて来られたのは、空き教室。



中に入ったと同時に、光先輩は私と視線を合わせることなく、ボソボソ言った。



「…別れよう」



…今、別れようって言った…？よね？



私の頭の中で、動物たちがラッパを吹き始める。



ついにこの時がきたんだ。やっと、光先輩から解放されたんだ…！



「はい！」



嬉しすぎて、笑顔で返事をしてしまう。



光先輩は罰が悪そうな顔をすると、そのまま空き教室から出て行った。



ひとり残された教室の中で、私はガッツポーズをする。



水原くんが言ってたこと…本当だったんだ。



水原くん、光先輩に一体何したんだろう？



気になるけど、早く緋奈乃に報告したくて、私は早足で緋奈乃の元へ駆けて行った。







「真湖！大丈夫だった⁉︎」



教室に入ると、緋奈乃が血相を変えて私の肩を激しく揺らす。



私は緋奈乃を座らせて、緋奈乃に抱きついた。



「実は！別れた！」

「…え？」

「今別れてきたの！光先輩と！」



緋奈乃は私から体を離す。



そして、私の顔を見つめたまま、瞳に涙を浮かべた。



「…本当良かった！自分のことのように嬉しすぎる〜…」



緋奈乃はワンワンと泣いていて、私は笑いながらハンカチを貸す。



緋奈乃にも散々迷惑をかけた。だから、一番に報告したかったんだ。



「真湖、別れたの？」