君に恋するその日まで

えっ…



「祐介とかは軽い喧嘩だって言ってたけど、俺はそう見えなくてさ。また何かあったらやべーから、昼休みから屋上監視してたわけ。そしたら放課後になって来たし」



昨日の昼休み。中庭にいた水原くんがやけに無表情で私を見ていたけど…



心配、してくれてたんだ。



緋奈乃がトイレに行ってる間、私が廊下で待ってた時も、水原くんは真っ直ぐに私を見ていて。



それも、心配してくれてたから…?



「しかも、相手は光先輩だし。めっちゃ焦った」

「光先輩と、知り合いなの?」

「んー、知り合いっつーか…中学同じでさ、何か分かんねぇけど俺、光先輩に嫌われててさ」



きっと光先輩のことだから、水原くんにでも嫉妬してたんじゃないかな。



あの人、自分より目立つ人がいるとすぐ怒るし。



「まあ、安心して。明日には光先輩から別れを切り出すから」



水原くんは確信したように、目を細めて笑う。



「それはないよ。今まで別れ切り出しても別れてくれなかったし…」

「俺が何とかする。ほら、言ったじゃん。俺は光先輩の秘密を知ってるって」



あっ、そういえば言ってた。



ーー『俺、先輩の秘密知ってるよ。バラしてもいい?』



「その光先輩の秘密って…何?」



私も光先輩の秘密を知れば、光先輩の弱味を握れるかもしれない。



そう思って聞いたのに、水原くんは教えてくれなかった。



「明日教えるから、待ってて」

「うん…?」

「明日には光先輩から解放されるから。俺が光先輩の秘密を持ってる限り」



水原くんは何か企むように笑うと、屋上から去っていく。



あの学校一のモテ男くん、水原流矢といきなりの対面に、あまりついていけなかった。



そして、明日光先輩に解放されると思うと、自然と心が軽くなった。