高校2年。7月上旬の昼休み。



目の前で親友がスマホをイジっている中、私はボーッと中庭を見ていた。



今日も彼は、たくさんの男友達に囲まれて笑っている。



太陽みたいに、明るくて、輝いている笑顔で。



だけどその笑顔が、たまに光をなくしたかのように、寂しそうな瞳になる。



「真湖!何見てるの?」



声のする方を見ると、さっきまでスマホをイジっていた親友が、スマホ片手に私を見ている。



彼女は山中緋奈乃(ヤマナカヒナノ)。小学生からの親友。



見た目はホワホワしていてマイペースそうに見えるけど、実際そんな欠片もない。



明るくてうるさくて良い意味で素直。行動も早すぎるから、たまについていけない。



緋奈乃は大きい目を細めて、私が見ていた方を見る。



「ふふ〜ん。もしかして、流矢くん見てた?」

「いや、別に違う…」



まあ、そうなんだけど。



緋奈乃は何か勘違いしたのか、ニヤリと怪しそうに微笑む。



「真湖ってもしかして、流矢くんのこと好きなの?」

「はあ⁉︎やめてよ、そんなんじゃないって」

「興味ないって言ってるけど、実は流矢くん狙ってたりして」



本当に好きじゃないんだけど。