君に恋するその日まで

何で、そんなに酷いことするの…?



私の中で、何かが切れた。



「もうやめてよっ‼︎洸耶にまで手出さないで⁉︎洸耶、もうすぐ県予選があるの‼︎怪我でもしたら…っ」



私が言い終わる前に、光先輩は腕を掴む力をさらに強くする。



そのまま私を引っ張ると、スタスタと歩き出した。



「おい、真湖!」



後ろから洸耶の声が聞こえたけど、振り向くこともできないくらい、光先輩に掴まれている腕が痛かった。







連れて来られたのは、昨日と同じ屋上。



でも、昨日より相当怒っているのか、ドアを閉める音が乱暴だった。



「お前ふざけんなよ⁉︎何だよアイツ!」



腕が痛い。心も痛い。



また叩かれるんじゃないかって思うと、逃げ出したくなる。



「男と話すなっつってんだろ⁉︎何回言えば分かるんだよ‼︎」

「別にいいでしょ⁉︎友達でもダメなんですか⁉︎」

「んだとてめぇ‼︎」



光先輩の手が宙に上がる。



ああ、また叩かれる。



そう確信し、ギュっと力強く目をつむる。



「その辺にしとけば?」



突然聞こえたその声に、目を開く。



光先輩の手はすぐ側にきている。でも
痛くないってことは…



声のした方を見た。



屋上の片隅にある水道タンク。



そこに少しだけ隠れるかのように…水原くんがいた。



茶色いフワフワの髪の毛が、風によって揺れている。



前髪から覗く大きな目。



真っ黒で真っ直ぐな瞳が、光先輩を捉えていた。



「…お前、水原流矢かよ?」



光先輩は、目を細めて水原くんを見る。



水原くんは、フッと目を細めて笑った。



「ああ、覚えてたんですか。まっ、俺アンタに嫌われてたしな」



嫌われてた?何の話してるのかが、分からない。