放課後。
バイトがあると、急いで帰ってしまった緋奈乃。
だから、今日はひとりで帰る。
靴を履き替えて玄関を出ると、女子達がガヤガヤと騒いでいた。
「あの校門の前にいる子、この間流矢くんと一緒にいなかった?」
「あー、文化祭の日いたよね。流矢くんの彼女かなあ」
「それだったら嫌なんだけど。流矢くんに彼女とか、私泣くわぁ」
…もしかして、八神さん?
いや、八神さんしか、考えられないよね?
私は校門の方を見る。
そこにいたのは、小柄な女の子。
そして、夕ヶ丘の制服を着ている。
間違いない。
八神さんだ。
水原くんのことを、待っているのだろうか。
それとも、洸耶のことを待っているのだろうか。
分からないけど、水原くんだったら…嫌だ。
私は八神さんを見ないように、顔を俯かせて校門に近付いた。
そして、校門を通り過ぎようとした時。
「真湖ちゃん?」
誰かに引き止められた。
いや、誰かではない。
きっと、この声は。
私が顔を上げると、そこには笑顔の八神さんが。
なんで、私の名前を知ってるんだろう。と一瞬疑問に思ったけど、
よくよく考えれば、文化祭の日に教えたんだった。
私は一応頭を下げる。
八神さんは私に駆け寄ってくると、またニコッと笑った。
「ごめんね。あんまり話したことないのに、馴れ馴れしく話しかけちゃって」
「いや、大丈夫だけど…私に用?」
「うん。ちょっと、話したいことがあって」
