文化祭から一週間が経った。
あの日から、水原くんとは話してもなければ、会いもしていない。
ていうか…私が会わないようにしてる。
と言っても、クラスは隣。廊下に出れば会う確率が多い。
だから、必要最低限、廊下には出ないようにしている。
「真湖~。学食行こ」
机の上で突っ伏していると、財布を持った緋奈乃が私の席のところに来た。
「んー。腹減らないからいいや」
「またそれ?一週間くらい、その返事続いてない?」
「そう?」
緋奈乃は怪しげに目を細めると、大袈裟にため息をついて、教室から出て行った。
緋奈乃にも、言っていない。
水原くんと、あんなことがあったって。
今考えるだけで頭が痛くなるし、目頭が熱くなる。
私はそれを振り払うように、また机に顔を突っ伏す。
「元気ねぇなー」
突っ伏した途端、いきなり頭をぽかっと叩かれた。
痛っ!と思いまた顔をあげると、コーヒー牛乳のパックを口に加えた洸耶が、数学のプリントを丸めて持ちながら立っていた。
そのプリントで叩いたのか…
洸耶は私の前の席に勝手に座ると、コーヒー牛乳を私の机の上に置いた。
「最近、元気なくない?クマできてるし、目充血してるし。寝不足だろ」
「そうみたい。あくび止まらないし」
「なに悩んでるんだよ」
言えるわけないでしょ。
水原くんと、洸耶と、八神さんの関係を知ってしまい、悩んでいます、なんて。
「真湖が元気ないと、緋奈乃も元気なくなるんだよ。元気出せ」