「ははっ、マジ笑える…」



水原くんはそう言うけど、全然笑えないよ…



水原くんだって、笑えてないじゃん…



「男が泣くとか、恥ずかしいわ。なんか、もう自分が分かんねぇ」



恥ずかしくないよ。



それくらい、八神さんが好きってことだよね…?



「萌のこと好きなのか、もう吹っ切れたのか、自分でも分かんねぇよ…」



八神さんを想って、涙を流す水原くん。



…あの子を想って涙を流すなら。



私を想って、笑ってよ…



そう言いたいのに。



「…笹倉は、笑ってろよ」



水原くんが、私を見下ろして、小さく微笑む。



「俺、笹倉の笑顔、好きだから」



その言葉を聞いたとき、思い出した。



祐介くんが言ってた。



私の笑顔と八神さんの笑顔が重なるって、水原くんが言ってたって…



「…八神さんの笑顔と重なるからでしょ?」



そして、私はついに言ってしまった。



「私を八神さんと重ねて、私と話してたの?私に笑顔を向けてたの?私と関わってたの?」

「笹倉、」

「私は私だよ!私は…八神さんじゃない!」



水原くんには、私自身で接してほしかったのに。



八神さんと重ねてたんでしょ?



違うよ。私は、私だから。



そんな、八神さんと重ねながら関わられるのは、もう嫌だよ…