君に恋するその日まで

今ではお兄ちゃんは大学2年目。相変わらず野球を続けていて、ポジションも変わらずキャッチャー。



一人暮らしをしているから、最近はめっきり会わなくなった。



「洸耶部活は?」

「祐介に遅れるっつってあるから、大丈夫」



えっ?祐介くん?



祐介くんって、水原くんと仲良い…



昨日話しかけて来た人だ。



「祐介くんって、野球部なんだ」

「うん。アイツ女にだらしないけど、野球には熱心に取り組んでるよ」



女にだらしない、か。



昨日の私の態度からしてそうだったけど、やっぱり女の子の扱いになれてるんだな。



でも、野球部っていうのは意外。



言われてみればガタイいいし、声大きいし、坊主っぽい髪型だし。



「もうすぐ県予選だね」

「んー。今年も夕ヶ丘なんかな。去年も一昨年も夕ヶ丘だったし」



「夕ヶ丘は潰してーな」と、洸耶は小さく笑う。



一生懸命頑張る人って、かっこいいと思う。



夢に向かって汗を流す人って、かっこいいと思う。



みんなそうなんだ。



誰だって目標があって、誰だって夢がある。



その目標や夢に向かって努力する人は、輝いている。



洸耶も今、甲子園という夢に向かって、頑張ってるんだなと思うと、心の底から温かくなる。応援したい。



「頑張ってね。私、県予選見に行こうかな」

「おぅ、来いよ。優勝して甲子園球場見るから」

「洸耶はさ、甲子園連れて行きたい子とかいるの?」



……



時間が止まるとは、このことなんだろうか。



洸耶は何かを思い出すように、顔を強張らせる。



…なんか、聞いちゃいけなかったかな。



「ほら、良くあるからさ。俺が甲子園連れて行く、みたいな」

「…真湖も誰かに言われたいのか?」



誰かに…



光先輩の顔が出てくる。



まずあの人野球部じゃないし。好きじゃないし。



特に言われたい願望とかは、ない。