廊下を歩きながら、今さっき祐介くんが言っていたことを思い出す。



聞いてしまった、水原くんの過去。



水原くんと八神さんに、そんなことがあったなんて…



ーー『流矢は、ずっと殻の中に閉じ困ってた』

ーー『だけど、真湖ちゃんと出会ってからのアイツ、なんか変わったんだ』

ーー『昔みたいに、笑うようになった。心の底から、笑えるようになってきたんだよ』

ーー『流矢、言ってた』

ーー『真湖ちゃんは、俺にはもったいないくらい綺麗な心をしてるって』

ーー『…真湖ちゃんの笑顔が、萌と重なるって』



水原くんは、私と八神さんを、重ねていたってこと?



私を八神さんだと思って…私と話してたの?



私は、水原くんに利用されてたのかな。



私って、水原くんにとって、どんな存在なの?



気付いてしまった。



水原くんの笑顔を見ると、自然と私も笑ってて。



水原くんが悲しいと、私も悲しくなって。



私は。



水原くんが、好きなんだ。



この気持ちに気付いてしまった今、胸がキュウっと苦しくなる。



水原くんは、八神さんのことが、好きだから。



叶わない片想い。



辛くて辛くて、泣きたくなった。



でも、水原くんは、もっと辛かったよね。



自分の好きな人が、自分の友達のことが好きで。



そのふたりは、両想いで。