…あの日の俺たちは、おかしかったのかもしれない。



洸耶にフられた悲しさを、俺にぶつけてきた萌。



萌が欲しくて欲しくてたまらなかった俺。



過去を後悔したって、なにも変わらない。



後悔するだけ…虚しくなるだけ。



「でも、流矢も前に進めてるなら、私も進んでみようかな」



萌は空を見上げて、小さく微笑む。



「洸耶って、何組?」



そして、俺を見る。



俺は、前になんか進めてない。



洸耶に謝る勇気もなければ、唯香をいじめから助ける勇気もない。



笹倉を、好きになっていいのか分からない。



笹倉を、守れる自信なんて、全くない。



「…B組」

「…ありがとう。流矢、頑張ってね」



萌は俺の大好きだった笑顔を向ける。



その笑顔を向けられると…ドキドキする。



萌が屋上から出て行き、俺はフェンスに強く寄りかかって空を見上げる。



青くて、広い、大空。



俺はそれを目に映し、ゆっくりと目を閉じた。