リビングに入り、お茶をついで飲んでいると、テレビの近くに飾られたコルクボードが目に入った。
そのコルクボードには、俺の野球している写真が、たくさん飾ってあった。
懐かしい写真が、たくさんある。
俺の両親は、完璧主義で厳しいけど、野球のことになるといつも熱くなるような人だった。
だから、俺の試合があると、都合が合えば来てくれたし、こうやってたくさん写真を撮って。
取る度に、コルクボードが増えていった。
俺はその写真の中から、1枚を取る。
それは、洸耶と俺が、マウンドで話し合っている写真だった。
その写真を見た瞬間、たくさんの記憶が蘇った。
初めて洸耶とバッテリーを組んだのは、中1の時。
でも、まだ中1だったから、1年生の中でのバッテリーってだけだったから、ただ投げ合ってるだけだった気がする。
でも、いつしか俺は、洸耶じゃないと、いい球が投げられなくなった。
俺の自慢のストレートを捕れるのは、洸耶だけだった。
俺は…洸耶じゃないと、投げられなかった。
そっか。凄い、簡単なことだったんだ。
萌。
俺も、洸耶とじゃないと、バッテリーダメみたい。
他のやつじゃ、無理みたいだ。
明日、ちゃんと洸耶に謝ろう。
萌のこと好きだったって。
告白したって。
今日のことも、隠さず言おう。
そして、「ごめん」ってちゃんと謝ろう。
俺は…夕ヶ丘には行かない。
風凪いって、洸耶とバッテリー組んで。
俺と祐介と洸耶で、甲子園を目指す。
夕ヶ丘じゃなくたって。
風凪でも、甲子園は目指せる。
