「俺ら、友達なのに、そんな気遣う必要あんの?俺のことなんか気にしないで、想いぶつけろよ!それが友達ってものじゃねぇのかよ?」
「お前だって、なんで俺に萌が好きだって言ってくんなかった?」
なんでって…
俺がそんなこと言ったら、洸耶は絶対俺に気を遣うだろ。
…って。
これって…
俺も、洸耶に気遣ってたってことみたいだ。
「俺らさ…お互い様なのかもな」
洸耶がははっと笑う。
俺は洸耶から手を離した。
「心の底から、信頼していなかったのかもな。俺たちって」
洸耶は俺の横を通り過ぎて、屋上から立ち去ってしまった。
俺と洸耶の関係も、見事に崩れた。
俺はそのまま、玄関に向かう。
バッテリー、だったのにな。俺と洸耶は。
お互い、お互いのことについて、何も知らなかったのかもしれない。
「流矢…」
靴を履き替えていると、萌の声が聞こえた。
顔を上げると、そこには目を真っ赤に腫らした萌が。
「なんでいんの?もう、下校時間過ぎてるけど」
「流矢だってまだ残ってるじゃん」
萌は笑ってるけど、いつもの笑顔じゃなかった。
それを見て、悲しくなる。
「…フられちゃったよ」
萌は、笑いながらそう言った。
そんな、無理して笑うなよ。
今すぐ、抱きしめたくなる。
「…そっか。頑張ったな」
本当は知ってた。
萌が、フられたこと。
でも、知らないフリをしておく。
その方が、萌のためだと思うから。
