「萌、大丈夫?」
俺が萌に話しかけると、萌は瞳をうるうるさせてこっちを見た。
「告白って、こんなに緊張するんだね。あー、やばいよぉ」
「俺だって、萌に告白するの緊張したけど」
俺がニヤリと笑うと、萌は顔を真っ赤にさせる。
「も、もう!照れるからやめてよ。わ、私頑張ってくるね!」
萌は俺に背を向けて、教室を出てしまった。
萌の背中は、勇気で満ち溢れている。
今の萌は、十分強い。
洸耶なら、ちゃんと守ってくれるから。
洸耶はいい奴だよ。俺なんかより、全然。
「…屋上」
後ろから声がした。
俺が振り向くと、そこには唯香が。
唯香は俺を真っ直ぐに見て、少しだけ微笑んだ。
「萌、屋上に洸耶を呼び出したの。ふたりが幸せになるところ、見てくれば?」
唯香と祐介には、萌に告白したことを言った。
フられたことも、ちゃんと言った。
ふたりは、俺に同情しなかった。
『頑張ったね』って
『頑張ったな』って
笑顔を向けてくれた。
