君に恋するその日まで


俺よりも全然小さい萌。



俺は萌に、笑顔を向けた。



「俺、萌が好きだよ」



萌は、目を見開いて俺を見上げる。



好き。本当に、好きなんだ。



だから。洸耶と幸せになってほしい。



「いきなりごめん。でも、ずっと好きだった」



萌は、困ったように俯く。



「あの、私…」

「洸耶が好きなんだろ?」



萌はまた、驚いて顔を上げる。



俺は安心させるように、少しだけ微笑んだ。



「だから、洸耶と幸せになってほしい。想い…伝えろよ。洸耶に」

「流矢…」

「俺のことなんか気にすんな。俺、萌が幸せならそれでいい」



萌の目から涙が溢れる。



感情的なんだか、涙脆いのか。



でも…



そんな萌を、抱きしめてあげたい。



だけど、その役目は、俺じゃない。



萌を守れるのは、洸耶だけだよ。



「流矢、ありがとう…私も、流矢が私にぶつかってくれたみたいに、私も洸耶に想いをぶつけてみる」



萌の目は、真っ直ぐだった。



萌も、本気なんだ。



想いを伝えられて、俺はスッキリした。



俺の初恋は、見事に散った。



後悔なんか、全くなしで。