「萌と高校も同じなんだし、アタックしなよ?」
アタック。
「唯香。俺さ、萌に告白しようって、決めたんだよ」
俺がそう言うと、唯香は目を見開いた後
クスッと笑った。
「流矢、何気にシャイだから、中々告白できないんでしょ?」
さすが、幼なじみだ。
俺のことなんか何でもお見通し。
「流矢。萌と洸耶が付き合う前に、告白しとかないと、一生想い伝えられないよ?」
分かってる。
だから俺も焦ってるんだ。
早くしないと、って。
「フラれたって、想い伝えられれば、後悔なんかしないよ。流矢ならできる」
やっぱり、俺は唯香が好きだ。
もちろん、幼なじみとして。
いつだって俺は、唯香に励まされる。
唯香のお陰で、やっと決心が固まった。
後悔しない。俺は、後悔なんてしたくない。
その3日後、俺は萌を屋上に呼んだ。
放課後だから、誰もいない。
そして、萌にフラれたら、洸耶にちゃんと言おう。
俺も萌が好きだ、って。
告白した、って。
だから、お前も堂々と萌を想い続けろ、って。
俺は屋上のフェンスに寄りかかって、空を見上げた。
空の広さみたいに、俺はそこまで心は広くない。
でも、今日だけは広くなろう。
萌と洸耶の幸せを、願えるヤツになろう。
「ごめん!日直で遅くなっちゃった」
数分後、萌が来た。
走ってきたのか、息も荒く、肩も激しく上下していて、髪も乱れている。
こういう優しいところも…好きだ。
不思議と緊張しなかった。
大丈夫。いける。
俺は萌と向かい合って立つ。
