「俺は風凪かな。夕ヶ丘の野球についていける気がしないし」
洸耶は風凪か。
風凪高校は、進学校だし、俺には無理かもしんない。
部活と勉強なんて、俺には両立できない。
きっと、部活を優先するから。
「俺は夕ヶ丘。推薦きてるし」
そう。俺は夕ヶ丘から推薦がきた。
甲子園行くことが目標の俺にとって、夕ヶ丘からの推薦は大きかった。
県内で一番スポーツが盛んな私立高。
私立だから部活に没頭できるし、なにより家から近いから、寮生活じゃなくても平気。
祐介も夕ヶ丘から推薦きてるから、てっきり俺と同じ夕ヶ丘かと思ってたけど…
「俺は洸耶と同じ風凪!」
祐介が胸張って言うから、俺は驚いてしまった。
「は?お前、夕ヶ丘から推薦きてんじゃねーのかよ」
「まあな。でも、俺はそこまで野球にかけてないし、野球が楽しめればいいわけ。しかも、風凪高校って可愛い子いっぱいいるらしいんだよなあ」
結局祐介の頭は女かよ。
こいつはまともな恋愛をしたことがない。
いつも俺が苦手とするギャルな女と付き合っては、すぐ別れる。
高校でも、そんな恋愛ごっこを続けるつもりなんだろうか。
「流矢なら、甲子園いけるよ」
さっきまで黙っていた洸耶が、ポツリと言葉を呟く。
そして、俺を見て二カッと笑った。
