…は?
俺がそいつの顔を見る。
バチっと目が合ってしまった。
そいつは嬉しそうにふふっと微笑む。
「八神さんの話したら、凄い動揺してるねえ」
なんで、こいつが知ってるんだよ。
「流矢くん、分かりやすいよ?でも、八神さんは洸耶くんが好きなんだよね?」
「じゃあさ…」と、そいつは俺の腕と絡めてくる。
「そんなに辛い恋してるなら、うちと付き合おうよ。うちなら忘れさせられる自信あるよお?」
萌を忘れる…か。
萌を忘れられれば、俺も少しは楽になれるのかな。
でも…
萌を忘れることなんか、俺には想像できない。
俺は本気で、萌が好きだから。
辛い恋だろうが、俺にはどうだっていい。
「悪いけど、萌を忘れることなんか、俺にはできないから」
俺は腕を振り払うと、振り向くことなく立ち去った。
でも…あのケバい女たちのお陰で、俺は決心をした。
萌に…告白する。
と決めたものの。
体育祭から1ヶ月経ってしまい、俺は未だに告白ができていなかった。
告白することって…こんなに勇気いるんだな。
俺は野球チームも引退して、受験モードになっていた。
放課後。
祐介と洸耶と一緒に帰りながら、高校の話になった。
「お前ら、どこ行く予定なん?」
祐介があくびをしながら言う。
