「俺は、去年と同じでリレーと騎馬戦かな」
「えぇ!流矢、騎馬戦やめて100メートル出なよ!足速いのに」
「萌は足遅いから、どうせ障害物か長縄だろ?」
「足遅くないもんー」
萌は頬をプクっと膨らませる。
萌は運動音痴で、足も遅い。
からかいがいもあるし、反応も凄い面白い。
結局俺は、騎馬戦をやめて100メートルにした。
萌に言われたからって変える俺…単純すぎる。
萌は俺の予想通り、障害物競争と長縄。
体育祭が、楽しみになってきた。
そして、体育祭当日。
体育祭日和とでも言えるくらいに、外はカラッと晴天だ。
むしろ、もうちょっと曇っててもいいんだけど。
「絶対優勝するぞー!」
クラスの盛り上げ役、洸耶が、円陣を組む輪の中で、手を空に伸ばして叫ぶ。
みんながおおー!と意気込む中、俺は萌を見た。
萌と視線は絡まらない。
それもそのはず。
萌は、洸耶を微笑みながら見つめているから。
俺は嫉妬で心がモヤモヤする。
俺はため息をついて、萌から視線を外した。
午前が終わり、今のところ俺のクラスは2位。
1位は祐介のクラスの、1組だ。
「流矢〜。俺のクラスが優勝もらうからなぁ!」
外で各自自由にお昼休憩。
俺が洸耶と話していると、祐介がケラケラ笑いながらやってきた。
「はぁ。別に、俺のクラスが優勝しなくてもいいから」
俺は祐介を少し睨みながら言う。
優勝とかそんなの、どうでもいい。
一番とか1位とか、そんなのどうでもいい。
でも…
萌の一番にはなりたいって、思ってしまう。
