俺はいつしか、そう思うようになっていた。



嫌だった。周りと違うって言われてるみたいで。



人間じゃないって、言われてるみたいで。



だから俺は、女という存在が大嫌いだった。



俺を見た目で勝手に決めつけて、キャーキャー騒いで俺と目が合うたびに喜んで。



親もうるさい。女もうるさい。



そんな時に出会ったのが、萌だった。



中2のクラス替え。



俺の隣の席が、萌だった。



『あなたが水原流矢くん?』



うざったいくらい可愛い笑顔を向けてくる萌に、俺の苛立ちが増した。



こいつも、周りの女と同じ。



俺はそう決めつけて、萌を司会に入れないようにした。



『流矢って呼んでいい?』



それなのにこの女は、しつこいくらい話しかけてくる。



こんな面倒くさい女は、初めてだよ…



『勝手にすれば』



俺は冷たく言い放って、そのまま机に突っ伏した。







そんな萌を意識し始めるようになったのは、それから3ヶ月後のことだった。



『流矢くんってマジ完璧すぎ』

『欠点とか見つからないわぁ!長所しかない』



クラスの女が、俺の話をしていた。



またそういう話かよ…



俺は嫌気がさし、聞こえないように机に突っ伏そうとした。その時。



『流矢はそんなんじゃないよ!』



俺の隣に座っていた萌が、クラスに響き渡るくらいに叫んだ。



俺はビックリして、顔を上げる。



萌は椅子から立ち上がって、顔を真っ赤にして怒っていた。