俺が萌を好きになったのは、中2の体育祭の日だった。
俺の親は、さっきも言ったとおり完璧主義。
俺は、運動も勉強もできないと、毎日親に怒られていた。
ーーあなたは完璧じゃないと駄目なの
ーー親にも恥をかかせるな
そんなことばかり口に出す親が、俺は大嫌いだった。
中学に上がり、女は俺を見てキャーキャー叫ぶ。
かっこいいだの、好きだの、付き合いたいだの。
言いたい放題口に出す女。
俺のこと何も知らないくせに、良くそんなことが言えるよな。
俺はそんな女たちを、冷たくあしらっていた。
俺は確かに、顔立ちは整ってると思う。
だからと言って、自分大好きっ子なわけではない。
どちらかというと、自分は好きじゃない。
女たちは俺を見ていつも言う。
ーー流矢くんって完璧だよね
ーー欠点とか短所、絶対ないよ
昔、小学校の時の担任が、こう言っていたのを思い出した。
ーー『人間は皆、欠点や短所は必ずあります。完璧な人なんていないんです。それは、悪いことではなく、それが、人間なんです』
俺は、完璧だと言われる。
欠点や短所がないって言われる。
じゃあ、俺は人間じゃないのか。
周りとは違うってことか。
