洸耶は恋愛のことに関すると、もの凄く鈍感になる。



萌の気持ちにも気付いてないし、



俺の気持ちにも、気付いてない。



俺が萌のことを好きだなんて、洸耶は知らないだろう。



まあ、知らない方が好都合なんだけど。



俺が萌のことを好きなのを知ってるのは、祐介だけ。



いや、もしかしたら、唯香も知ってるかもしれない。



アイツは鋭いから。



「萌は高校どこ行くの?」

「私?まだ決まってないんだぁ。洸耶は?」

「俺は夕ヶ丘!流矢と祐介と一緒に野球する」

「じゃあ、私も夕ヶ丘にしよっかな。みんながいて、楽しそうだもん!」



萌と洸耶が笑い合ってる。



楽しそうに、愛しそうに。



萌が幸せになってくれるなら、俺はそれだけで幸せだよ。



なんて、俺はそんなことが言えるような、心の広い男じゃない。



本当は、萌が欲しくてたまらない。



洸耶じゃなくて、俺を見て欲しい。



洸耶じゃなくて、俺を想ってほしい。



洸耶じゃなくて、俺にあの笑顔を見せてほしい。



なんで萌は、俺じゃなくて洸耶を選ぶんだよ。



俺の心は、いつもこんなことばかり思ってる。