そんな私を見て、光先輩は勝ち誇ったかのように笑う。
「真湖も気になりそうな顔してるし、言っちゃいますか」
「言うな!お前っ、なにがしたいんだよ!」
祐介くんが光先輩の胸ぐらをまた掴む。
光先輩は舌打ちをして水原くんを睨むと、水原くんを思い切り突き飛ばした。
祐介くんは、痛そうに尻もちをつく。
そんな祐介くんを、光先輩は、横目で笑った。
そして、私を見て、言った。
「八神萌が園田洸耶にフラれた日に、水原流矢は八神萌を抱いたんだよ」
…えっ?
「まあ、しちゃったってわけ」
しちゃった…って…
「てめぇ!ふざけんじゃねぇよ!」
祐介くんが起き上がって、光先輩に近寄る。
「でも、事実じゃん?事実って言っちゃダメなん?」
光先輩がふっと鼻で笑うと、祐介くんは悔しそうに目を細めた。
そして、近くの椅子を思い切り蹴る。
「あいつらは、一晩寝て過ごした仲だぞ?真湖はそんなヤツが好きなのか?」
「バカなヤツ」と、光先輩は言い捨てて、空き教室から出て行ってしまった。
まさか、水原くんと八神さんが…?
そういえば。
私は前に、水原くんが言ってた言葉を思い出した。
ーー『でも、俺だって男だし。それなりの経験はあるわけ』
ーー『でも…なんであんなことしちゃったんだろうって、後悔してる。しなきゃ良かったって』
