「流矢はふたりが両想いなことを知っているたのに、ずっと萌を想い続けてた。流矢は洸耶に、萌が好きなことを伝えてなかったから」

「そんな…」

「洸耶は流矢が萌のこと好きだって知らなかったんだよ。だから、流矢に萌の相談とか、洸耶は毎日してた。流矢は辛いはずなのに、笑顔で答えてんだよ。それくらい流矢は…萌も、洸耶も、好きだったんだ」



水原くんは、本当に心から優しい人。



それは、私だって分かる。



でも、そこまでして…自分を犠牲にする必要はあるの?



いくらなんでも、優しすぎだよ…



「元々流矢は、中学の時野球やってた。洸耶と同じチームで、ふたりはバッテリー組んでた」



バッテリー…



「流矢がピッチャーで洸耶がキャッチャー。あのふたりのバッテリーは、俺から見て凄い最高だったよ」



祐介くんは、苦しそうに顔を歪める。



「流矢も洸耶も部活を引退した10月下旬頃。流矢のヤツ…いきなり、萌に告白した」



水原くんが、八神さんに…告白?



「もちろん、流矢はフラれた。ここで終われば良かったんだけどな…」



祐介くんは、ははっと力なく笑うと、顔を俯かせた。



「流矢が萌に告白したのを、洸耶がたまたま聞いちゃったんだよ。その時初めて…洸耶は、流矢が萌のこと好きだって、気付いたんだ。


それから少し経ったくらいだったっけな…今度は、萌が洸耶に告白したんだ」



私の頭は、こんがらがっている。