友達は、はあ、と大袈裟にため息をついた。



そして、テーブルにだらーんと突っ伏して、嘆くように叫んだ。



「女子だらけだから、いい出会いがなーい!」



ひとりがそう叫ぶと、周りの友達もうんうんと頷く。



そっか…女子校だもんね。



全校生徒が女子だから、周りを見渡しても女子だらけだから。



そういう出会いも、中々ないってことか。



「えっ、でも、N女の近くにN高があるじゃん」



緋奈乃の言う通り、確かにN女の近くには、N高がある。



N高は、県内トップの男子校。



N女とN高は徒歩で行ける距離にあるから、かなり近いんだけど。



「それがさ、一回N高の人でいい人がいたわけよ。でも、やっぱり県内トップの男子校だから、考えとか堅くて疲れるんだよね。やっぱり考えが緩い人がいいよ」



いや、それって、みんなの理想が高いだけじゃ…



「でさ!私たちが風凪の文化祭に来た一番の理由が…」



さっきまでいい出会いがないと嘆いていた子が、いきなりキラッキラに瞳を輝かせる。



…なんか、突拍子もないこと言いそうな予感。



「風凪に凄いイケメンがいるって、N女の生徒の間で凄い噂なの!そのイケメンを見に来たの」



風凪に、凄いイケメン…



私と緋奈乃は顔を見合わせる。



うん。そのイケメンってさ…



絶対、水原くんだよね…



「風凪の文化祭に来てるN女の人たちは、多分私たちと同じで、そのイケメン探しに来てるんだと思うよ」



私は廊下に目を向けると、廊下にはN女の制服を着た女の子が結構いた。



凄いな、イケメンパワー。



イケメンがいるという噂だけで、こんなにN女が来るんだ。



どれだけ男に欲しているんだよ、と、心の中でツッコミをいれる。