気分が晴れないまま迎えた、文化祭当日。
いつもは静かな朝も、今日は朝から賑わっていて。
「うっし!気合い入れますか!」
緋奈乃がクラスに響き渡るくらい叫ぶ。
クラスメイトもみんな笑顔で声をあげている。
文化祭の日くらい…楽しまないと。
私はそう決めて、笑顔で声をあげた。
お客さんは順調に来てる。
結構…接客って大変。
緋奈乃はバイトしてるから慣れてるけど、バイトしていない私にしたら、もの凄く大変。
あらためて、仕事することの大変さを教わった気分。
一回ひと段落つき、緋奈乃と休憩を取っていると、B組の廊下の前を、水原くんと祐介くんが通った。
「おっ、サボりかー?」
椅子に座って休憩している私たちを見て、祐介くんがケラケラ笑う。
緋奈乃は椅子から立ち上がって、祐介くんの肩を思い切り叩いた。
「痛っ!おいおい緋奈乃ちゃん。俺野球部。肩痛めたらマジで終わりなんですけど」
「サボりじゃなくて、休憩してるんですー」
緋奈乃と祐介くんの言い合いが始まり、私は思わず笑ってしまう。
このふたりの言い合いを吉春くんが見たら、吉春くん凄い嫉妬しちゃうよね。
そんなことを考えていると、さっきまで緋奈乃が座っていた場所に、水原くんが座った。
そんなちょっとした行動に、ドキドキしてしまう。
水原くんを見ると、水原くんはいつもの制服ではなく、何故かキッチリとしたスーツを着ていて…
って、あれ?なんか、いつもと髪型も違う気がする。
普段もかっこいいけど、こっちもかっこいい。
水原くんは私を下から上までジーっと見る。
そして、可愛い笑顔を浮かべた。