そういえば、ペンキ持って来いって言われたんだっけ。
ペンキって…どこにあるの?
ペンキペンキ…
あっ、あそこだ。
3階の空き教室!
私は階段を登り、空き教室に向かった。
「ふざけんなよ‼︎」
空き教室に入ろうとした時。
空き教室の中から、もの凄い怒声が聞こえてきた。
しかも、この声…水原くん?
私はこの間の水原くんと祐介くんの会話のように、盗み聞きの体制に入ってしまう。
そーっと中を覗くと、私に背を向ける水原くんと…
その向かいに、洸耶がいた。
…なんで、このふたり?
「いっつもお前は俺にばっか気遣って、あの時もそうだった。なんで…自分の気持ち押し込むんだよ!」
水原くんの悔しそうな声と、洸耶の見たことがないくらい辛そうな表情。
こんなんじゃ…私、どうすれば…
「流矢は…まだ萌のことが好きか?」
洸耶は俯いていた顔をあげ、真っ直ぐに水原くんを見る。
「…洸耶は?」
水原くんは質問に答えず、同じことを洸耶に聞く。
