その日から、なんとなく私は水原くんを避けてしまった。
と言っても、まずクラスも違うし、中々会うこともなかったから、私には好都合だった。
文化祭の準備などで、忙しい毎日はあっという間に過ぎていった。
そして、文化祭まであと一週間になった。
ますます賑わう生徒たち。
そんな中、私だけは乗り気になれなかった。
「おーい。真湖。手止まってるけど?」
緋奈乃に言われて気付く。
やば。全然進んでない。
私は手を動かして、黙々と作業を進める。
「…真湖さぁ、何があったのか分からないけど、元気出しなよ?文化祭、そんなんで蒼くんに会うわけ?蒼くん楽しみにしてるのに」
蒼くん…
いっそのこと、もう蒼くんと付き合っちゃえばいいのかな。
そうしたら、気持ち的にも楽になるし。
水原くんのことで…悩むこともないのかな。
「…もーっ!いつもの真湖はどこ行ったの⁉︎ほら、ペンキ切らしたから持って来い!気分晴らせ!」
緋奈乃は私を立ち上がらせると、背中をポンと押した。
振り向くと、緋奈乃は笑顔を少しだけ浮かべている。
「…ありがと」
私も緋奈乃に笑顔を浮かべると、緋奈乃は頷いてくれた。
