「急げ!カノ!」
僕たちは人が歩いた形跡が無さすぎる埃っぽい道を走った。
奥に行くにつれてだんだん薄暗さを増していく。
「おい!ラスっ…俺、目が…」
「もう見えないのか!?大丈夫か!」
「大丈夫だよ。ラスの後をとにかくついて行く!」
ラスの目はかなり暗闇に弱い。
扉の前についた。
あの3人が入って行った部屋。
入る覚悟など決めること無く、思い切り部屋のドアを開けた。
暗い廊下に光がさした。
僕とカノの息切れの音がする。
「ゆっ、夢宮くん!」
僕たちをみて声をあげたのはユウヒだった。
ユウヒの目の前には怖い顔をした女。
あ、あの飼育員か。
飼育員はものすごい形相でユウヒを睨んでいたが、ユウヒの声に反応してこっちを向いた。
「なんなの!ジャマよ!!殺されたいの?!」
飼育員は叫んだ。
そして、ユウヒをガッと自分の方に引き寄せたかと思うと。
懐からナイフを取り出し、その刃先を彼女の首に向けた。
「そこから動くと血が吹き出すわよ。」
飼育員の女は僕らを睨みつけた。
ヤバい状況…。
「…ラス…どういうことだよ…。」
カノが小さな声で僕に問う。

