マーブル

「…凄い曖昧なのね。」
「あっ、うん。笑」
俺は自分が何歳なのか覚えていない。
…うーん。
600年以上は生きてる気がする。
「私も18歳よ。」
「…同い年なんだね。」
「…多分。でしょ?」
そういって彼女は笑う。
俺が曖昧に答えてしまったのに疑問のある顔をしてない。
不思議な子…。
空を見上げると星が出てきていた。
そろそろ目がみえなくなってきた。
目を細めればやっとみえる。
「あと少しよ。」
「あっ、うん。」
よかった。ギリギリ大丈夫かも。
月が出ている。
ラス、何してるかなあ。
ラスとユウヒさんとは気まずいまま。
2人とも怒ってるんだろうな…。
いつのまにか田んぼ道を抜けた。
そして見えてきた大きな建物。
「…ここで大丈夫。日野架乃。」
「…その呼び方やめろよ。笑」
「…日野くん。」
「…嫌だ。カノな。」
「…分かった。」
日野なんて呼ばれたくない。
日野なんて苗字は地球で使う仮の物だから。
「…カノ。ありがとう。」
彼女は真っ赤な手で車輪をまわした。
「…うん。でも手…。」
「大丈夫。すぐそこだから。」
断る彼女の勢いに負けた。