「…僕何して…あ。」
思い出したみたい。
「僕、倒れてたか?!」
「…うん。」
私が言うと彼は自分の手首をギュッと掴んだ。
「…すまない。」
完全にクラスでの静かなラスくんは消え去っていた。
今は慌てていてあたふたしている。
それがとても面白い。
「…ねえ。夢宮くん。」
気になったことについて聞いてみることにした。
「…手首。血出てた。」
「…え!」
ラスくんは手首を抑えながら顔を上げた。
「…それで、手当てしといた。」
「…ありがとう。」
彼はそれ以上手首のことには何も言わなかった。