え…!
「そんなことも分からないの?!悟ってよ!!」
月に行くって…。そういうこと…。
「お父さんは星になったの。わかるでしょ?お父さんは私に話してくれた。いつか月に行くんだって。生きてるうちは無理かもしれない。だから死んだらまずは月をみてくる。って。」
「…うん。」
僕はなにも言えなくなった。
彼女にかけてあげる言葉が見つからなかった。
見た目は僕は中学生くらいで、彼女は小学生くらいだった。
兄妹だと思ったのか、近くで井戸端会議をしていたおばさんが「偉いわねえ。」ってボソッといったのが聞こえた。
お兄さんが妹を慰めているように見えたんだろう。