「転校初日に迷惑かけてごめんね。」
二人は荷物をまとめて一緒に教室を出た。
「うん！全然大丈夫だよ。」
彼は笑ってみせてくれた。
校門を出て空を見上げて見る。
今日は綺麗に月が出ていた。
「今日は夜空が綺麗だね」
わたしが空を見上げながらいうと彼も同じように空を見上げた。
「本当だ。僕、はじめて夜空をみたよ…」
「はじめて？！」
「いっ！いや、僕が以前住んでたところは星なんて見えなかったんだ！」
星が見えない…。
空気の澄んだこの町は毎日のように星が見られる。
「じゃあ…ラスくんはきっと都会にすんでたのね。」
都会は星が見えないと、聞いたことがあった。
「……うん、」
「星が綺麗だね。」
わたしが尋ねると彼はほんとうだってあいづちをうってくれた。
「星はね、一つ一つが生きてるんだよ。まいにち大気やガスの変動をくりかえしてるんだ。」
「生きてる…か。」
「うん。あの小さな粒のような星が全て生きてるってすごいよね。ほら！あの星をみて！
ぎょしゃ座だ！」