想い人




久々の数学準備室。

少し、少しだけ緊張する。

そっと教室に入る。

すると……




「あの、原田先生、わたしっ」



女の子の声?



「好きなんです!先生が。」



ま、まさかの告白ーーーーー?!!



「俺はガキなんか好みじゃない。消えろ。」



本棚の隙間から二人の様子が見える。



「そういうところも好きです」


「はぁ?」



―――ガタンッ!!!



「ちょ、おい!!やめろ!!」


「いやよ!!」



なに、これ。

目をうたがうような光景だった。

キス……してる……



「やめろって言ってるだろ!」


「……っ」



強く突き放された女の子は涙を浮かべながら出口に走って行った。

ど、どーしよー。



「おい、変態。」



ん?!!まさか、バレて…



「バレバレだ。キスシーンまで見てただの変態だな。」


「先生がこんなところであんな…いかがわしいことしてるからでしょ?!」


「なに思い出してして赤くなってんの。」


「なってない!!!」



なんなの。誰とでもキスできるって言うの?

ほんと最低な教師!!!



「もういいです!失礼しました!」


「待って」



スッと手を握られる。


ドキッ。





「消毒してよ。」





子供のような少しかすれた声で言った。