「んー。まだ足んないなぁー」


「なぁにを言ってんだい。じゅうぶんだよ」


「えぇー。んねぇー、ミー子。ふふっ」


ここはカナメ横丁。


町外れのカナメ通りの横へ入った町筋です。


「なぁーなぁー狐女。最近人間に見られちゃってさー。」


「なんだって!?ったく。そんで、殺したのかい?」


「いやー、先に逃げちゃった」


狐女はため息をついて、着物を脱ぎ始めた。


「私はちょいと街に出てくるよ」


「人殺しちゃだめだよー」


「ふん。わかってるよ。」


「同情、かな。妖怪のクセに…………。」


狐女が見えなくなったのを確認して、


猫娘はそうつぶやいた。


「さっ、行こうか、ミー子。」


そして、ミー子と呼ばれた黒猫をつれて、


狐女の反対方向に向かった。