もののけ横丁

「そんな怖い目で、うちの可愛い坊やを見ないでくださる?」


須野はクスクス笑いながら腕を組んだ。


「悪いが、元からだ。」


2人の間に火花が見えそうだ。


「新谷先輩!!!!!!」


「……………………ナイスタイミングだ、恭平。」


向こうから、恭平が走ってきた。


「では失礼する。」


新谷はかなり安心した顔で、


須野と蘇芳の横を通り過ぎた。


「うっ、あっ、し、失礼します」


新谷の後ろを、そそくさと恭平はついていった。


「はぁ…………ハッピーセットのようですね。」


「私たちもじゃない。」


首をすくめながら言った須野の声と、


コツコツという靴の音が広い廊下に響いた。