ハジマリはバレンタイン

「嘘、ちょっとからかってみただけだよ、じゃ。」


笑ってひらひらと手を振ったあと、駐車場のほうへ歩いていった。


そして数歩歩いて急に振り返った。



「あのさ、、、ありがとね、こないだのこと黙っててくれて。」


この間のこと。


偶然聞いてしまったあの電話のこと。


「いえ、そんな。むしろ安心しました、完璧な王子様も、人間なんだなって。」


珍しく思ったことをそのまま言ってしまった。