職員室で用を済ませて下駄箱に走ると、麻里菜が待っていた。


「来た、よし、行くよー!」


「麻里菜、バレンタインに興奮しすぎだよ、本命がいるわけじゃないのに。」


私は足早な麻里菜に駆け寄りながら言った。


「何言ってんの?バレンタインにチョコ渡すことで始まる恋だってあるし、何か起きるかもしれないでしょ! あああ、彼氏欲しい~!」



麻里菜は昔から恋愛願望が強い。
常に男を求めてるから、悪く言えばチャラくて。


周りからは男遊び激しい軽い子ってイメージもあるけど、寂しがり屋で彼氏が欲しいことも、本当はキスもできないくらい経験値が低いことも、どんな子にも優しい麻里菜を知ってる私は、麻里菜を嫌いになれない。