隣のクラスの転校生【完】


今日は雨。
ジメジメしてて本当に嫌。夏の雨って鬱陶しい。

何より嫌なのが、

「、」

やっぱり。とため息を着く。
帰ろうとバス停に向かうといつもより遥か手前から続いている列。それはバス停からの列で、雨の日は普段自転車通学の人がバスで通学するのだ。


友だちの少ない私はこんなに人が並んでいても知り合いは一人もいない。悲しいな。もっと社交的にならないと。


「あ、」


なんてあるものを視界に捉えた瞬間、ほんとに小さな小さな声が漏れた。雨音で簡単に消える声。

理由は桐生渉がバス停で私の隣にいたから。そんなことで声が漏れた自分が恥ずかしい。バス停で見たことも無かったから自転車通学なんだろう。

何悠々とイヤホンなんて付けてんのよ。と悪態を心の中でつける。



「…っ」



なぜか桐生渉は私のことを見つめたそれもだいぶ長く。五秒程。なんなんだという焦りから嫌な汗が出る。



桐生渉は私から目を離すと自分の携帯を取り出しいじり始めた。

なんだこんなイケメンに見つめられたこと無いから、びっくりするくらい焦った。不覚にもドキッとしてしまった。くそぉ。なんて顔を歪ませる。