「もう、話しかけんなって言ったでしょ!!」
そう言って桐生渉の手を振り払う。
なんでついてくるの。私をからかって何が面白いの。ねぇ。私は苦しくなるだけなの。もうやめてよ。
「今日、俺が告白されてるところみてたでしょ?」
「っ、」
桐生渉の二重の目がうつむく私を鋭くとらえる。
「…なんであんな悲しそうな顔して、俺のことみたの?…俺期待してもいいってことなの?」
…………は?
ふざけんな。
何を抜かして桐生渉はこんなこと言っているんだ。そんなセリフ私のことが好きで、彼女がいない奴が言うようなセリフじゃないか。
そうか、そんな私で遊びたいのか。



