隣のクラスの転校生【完】



…に、しても通りすぎればいいだけだよね。

関係ないんだし、桐生渉は私のことなんて微塵も気づいていない。そんな思いとは裏腹に息苦しくなって、心臓が重たくなる。いわゆるヤキモチというものか。

でもよくこんな人通りの多い渡り廊下で告白するよね。あなた達注目度すごいですよ。

「あの、桐生くんみたいな人が、地味な私にもいつも優しくて、話しかけてくれて。…身の程知らずって分かってるけど、好きになっちゃったんだ。」


「身の程知らずなんてそんなことないよ。きりちゃんはいい子だよ?」


その桐生渉の声に『きりちゃん』と呼ばれた女の子は嬉しそうに顔を開けて微笑んだ。

そっか。そうだ。桐生渉みたいにモテる奴は誰にでも優しいんだ。

ただ桐生渉はこんな地味ないつもバス停で見かける陰気な私をからかっていただけなんだ。遊ばれてたんだ。