隣のクラスの転校生【完】


「『あんなタラシ』とか言っといてさ。美織、桐生くんの名前出たらすごく反応するじゃん?」

…、確かにそうかもしれない。反応はするけど。

「それは、…そ、の。…えっと…、」


「あ!桐生くんだ!」


「え!?どこ!?どこ!?」

見渡すけど廊下にもいない。普通の休み時間の風景だ。


「桐生くんはいません。やっぱり好きなんじゃん。認めなよ。」

「うーー…」

「唸ってもダメ。そんなにくま作るほど考えちゃうんでしょ。素直になりなさい。恋なんて理屈じゃないの。いつの間にか好きになってるもんなのよ。」

「………、」

でも桐生渉には彼女がいて、ラブラブで。

前、由奈に桐生渉と桐生渉の彼女が写っているプリクラを見せてもらった。どこで手に入れたか知らないけど。でも美男美女って感じで、仲良さそうで、胸が苦しくなった。

無理だ。あんな彼女さんには敵わない。桐生渉の周りにいるような女の子たちには適わないよ。